誘蛾灯の囁き

アート音痴・芸術素人が好き勝手やってます。

あーと

わび・さびの中の「有限性」と「無限性」、美の神性

私は別に仏像ファンやマニアでもなんでもないが、剥げた仏像が、人々の心に訴えかけるのは、時を経て表面が剥げ落ちるという、モノの「有限性」と、そこに何百年以上も存在している・ある、という「無限性」を人は感じるからでは無いかと思う。 枯山水の石庭、砂…

『イヴサンローラン』(2014)映画感想

この作品は、イヴサンローランが残した華やかで美しいファッションについて描かれた作品ではない。もちろん随所にそれが散りばめられてはいるし、そうした部分も楽しめるだろうが、メインではない。この作品は『ファッションデザイナーとして様々な作品を生…

拝啓、手紙。芸術と私と教授の対話。

ある対象物に、いくら魅力を感じても、 ましてやそれを分かってもらえるように他者へ説明することは難しい。 私は今も昔も『 言葉によって何かを理解したり説明してこようと努力してきた』 人間だ。 心理学でいうなら精神分析のフロイトやらユングあたりの立…

『シャガール、その一生』

私が取り上げたいのは、最愛の画家のひとり、「シャガール」である。 彼はどのような人であったのか、また、彼が描き続けたものはなにか、そして絵画とは、芸術とは何であるのか、を。まとめていきたい。 ローマ時代、コンスタンティヌ帝がキリスト教を国教…

平野啓一郎「非日常からの呼び声」~絵画と築く関係性~

平野啓一郎氏の記述も実に興味深かった。彼はこの本の中で、こう語っている。 美術作品とのつきあいは、本来は、必ずしも一期一会ではないはずである 同じ絵を同じ美術館で何度も見るという経験をして、一枚一枚の絵と、特別に親密な関係を結ぶ喜びを知った…

『非日常からの呼び声』平野啓一郎氏から思うこと。

旦那に貸してもらった本、平野啓一郎氏が監修の「非日常からの呼び声」。宝物になりそうです。大好きなクノップフが載っていて嬉しかった。 (タイトル:『仮面』) その本に載っていたお気に入りの絵画についてあれこれ書いていきます。 安定の官能美。ティツィ…

画家の画集を買うのは無意味か?

とある質問サイトで、「絵画は画集を買っても生の絵ではないわけだし、意味がないのではないか?」という質問をしている人がいた。 実物のみが持つ「アウラ」のない画集を買うのが無意味だというのなら、それでは音楽だって生のライヴ以外のCD音源は聴く価値もな…

作品に対する愛のあり、なし。

昔の名作映画ばかり観ている私だけれど、ファッションデザイナーや、西洋王室・貴族の映画、心理学に関係していそうな映画がやってるとついつい観てしまうクセがある。 (あとは樹木希林の出演してる映画も見てしまう。)心理学系の映画としてかなり前に劇場で…

リヴィオ・セグーソ~調和と奏~

一目惚れのような出会いをしたリヴィオ・セグーソの作品たち。 もともと箱根ガラスの森美術館に行くことになったきっかけは、セグーソの作品を見たかったからでした。 私の行った時期はちょうどヴェネチアンガラス展とセグーソ展の2つが開催されていたので、…

箱根ガラスの森美術館(リヴィオ・セグーソ展)

箱根ガラスの森美術館(ヴェネチアンガラス展)

館内も撮影可能です。 非常にヴェネチアらしい水差し。 ガラスの中に閉じ込められたレース模様は当時ヴェネチアが持っていた最高峰の技術 美しい色。鮮やかさと透明感。 展示のされ方まで美しい。

「残すための写真」と、「語るための写真」

引用 《 目の前の情景を美しく正確に写しただけでは名画は生まれません。》人々が共感するのはその画家が描き出した精神性、物語性。 写真も大体同じことが言えるなァと思う。ただ写真は美しく撮ることに特化しても絵画と違って価値が生まれるけど。 ポスト…

日本人に印象派が人気な理由。

日本では印象派の人気が高い。前々から、何故日本では馬鹿の一つ覚えのごとく印象派印象派うるさいのかと、私はうんざりしていた。 散々語り尽くされている気もするけれど、その理由を素人の私なりにいろいろ考えてみた。西洋絵画を観る上で必要になってくる…