誘蛾灯の囁き

アート音痴・芸術素人が好き勝手やってます。

作品に対する愛のあり、なし。

昔の名作映画ばかり観ている私だけれど、ファッションデザイナーや、西洋王室・貴族の映画、心理学に関係していそうな映画がやってるとついつい観てしまうクセがある。
(あとは樹木希林の出演してる映画も見てしまう。)

心理学系の映画としてかなり前に劇場で見た「シャッターアイランド」は最低の作品だった。
映画としてその終わり方はナシだろう、今までの話も何もかも全て意味をなさないだろう、それじゃ盛大な釣りだと思ってしまった。

あなたはこの謎を何分で解けるか、と散々煽っておいて後出しじゃんけんで負けさせられた気分で。
誰かがYahoo!か何かの映画レビューで「この映画は謎解きものではなく、精神とは?という命題で見させた方が絶対に良かった」と言っていたけど本当にそのとおりだ。

たとえその精神とは?人間とは?という命題で見るにしても、ひどい映画だったけども。
主人公が妄想世界を抱くようになるに至るまでの背景とか心情とかそういう情報がたり無さすぎて。
シャッターアイランド」については、ひどい宣伝のせいもあって、観終わった後にがっかり感しか残らない映画だった。


いくら映像が美しかろうと、音楽が良かろうと、役者の演技がうまかろうと、やれ3Dだやれ最新のCGアクションだと騒ごうと、名監督の○○氏が作ったものだろうと、脚本がダメだともうダメだと思ってしまう。
あとは皮肉だけども、宣伝の仕方も大切だなと(この作品のおかげで)しみじみと実感することができた。

映画に関して特に専門的に学んだことのない一介の素人観客の私だが、
そんな私が映画を評価するにあたって最も重要視するのは、作り手の愛を込められた作品なのか?ということ。

「愛があるかないか」、それは私の中でかなり重要なポイントだ。
撮る対象/作る対象や表現したいものについて真剣に向き合っているか、どうやって伝えようか、この表現をどうやって実現させようか考えに考え抜いているか。
絵画・映画・文章・建築・工芸品問わず、そういったもの全般に対しての姿勢を私は(勝手に)「愛」と呼んでいる。


「こんなふうにしておけば売れるだろ、ウケるだろう」「とりあえずはやりのこれを入れておけばいいだろう」みたいな愛のない最低な商業デザイナーズ映画は観る価値もないしその姿勢が透けて見えると本当に頭に来る。
エンタメ作品としてただ消費するんだったらいいけれども。

話題性を狙ったり、ただ売れることだけを考えた、“雑な”愛のない映画、ドラマ、建築、音楽は嫌いだ。頭に来る。

そして特に映画の場合、その作品に込められたメッセージ・作品が提議したいであろう問題自体も重要で、それらが伝わりやすいかどうかも大切だと思っている。
難解すぎて誰にも伝わらないようならそりゃ独り善がりのアーティストのオナニーだとすら思う。
難解すぎて伝わらないというのは、自分の無教養さのせいもあるだろうけれども…
現代アートの絵画や彫刻、音楽ならそうした「伝わりやすさ」は特に気にしないのに。
映画に関してだけは、メッセージが観客である受け手にわかり易く伝わっているか?というところにものすごく注目してしまう。
やはり、映画は絵画や彫刻と違って、大衆娯楽の側面が強いせいだろうか。